レパトリと有事について

破産殖産

DEAD OR ALIVE

有事パニック相場は、一部の投機家が莫大な資産を築く一方で、多くの人が破産する相場です。

”このような相場が来たとき自分がどうあるべきか”を、前もって準備しておくのは有価値で、この考察に時間を割く事もまた有意義だと思います。

2017/08/29、午前6時過ぎ、北朝鮮のミサイルが発射され、北海道襟裳岬上空を通過し太平洋へ落下。

現地ではJアラート(全国瞬時警報システム)が発動し、走行中の電車も一時その場で停止させる事態となった。

 

詳細はニュースサイトを見て頂くとして、

当ブログではこの時の為替動向に焦点をあて、値動きの結果と理由、さらに今後の対策と考え方について解説します。

 

ちょっと不謹慎な言い方かもしれませんが、

最近は当初ほどの驚きも薄くなり、週刊ミサイルとかサンデーミサイルと呼びたくなるほど非日常とは言えなくなりましたね。。

 

傾向:有事 → 円高、当国市場株安

日本有事 → 円、日本株

2017/8/29 Jアラート(※ちなみに103pipsの後フィボ50~61.8付近で再下降し、さらにこの右側のチャートにあたる現在は既に上昇に転じている)

今回はクロス円は軒並み円高傾向にあり、ドルストレートなどのその他はほぼノーリアクション。

マザーマーケット(材料発生時刻)の問題もあるでしょう。

 

東日本震災の際も急激な円高になりました。

ミサイルでも、震災でも、円高になりやすいといえます。

2011/3/11東日本大震災 ※下落後のV字回復は日銀による為替介入の影響です

 

しかし、これを教訓に「有事の際は当事国通過高」と考えるのは早計です。

 

※あくまで発射直後(数分~数時間)の値動きです。時間経過と共に追加材料は変化します。
※物資・建築など一部の株式銘柄は上昇する可能性があります

 

アメリカ有事 → ドル、米国株

一方、911同時多発テロの際もドルは急落しました。

※2001/9/11米国同時多発テロ ※インターネット/個人投機の普及率が低い点も勘案が必要です

 

株式市場は、日米共に自国市場株安となっていますが、為替においては、

米国が自国通貨になっているのに対し、日本は自国通貨になっています。

 

つまり、アメリカで有事の際も、日本で有事の際も、円高ドル安になっている事実(データ)があります。

 

※株は結局連鎖して世界同時株安になる可能性があります

アメリカと日本で結果が違う理由

原因はレパトリエーション

為替相場で言うレパトリとは、他国へ投資している資金を本国へ戻す事を言います。

 

つまり、有事の際は、日本人が海外に投資していた資金(外貨)を売って、(日本円に)現金化しているという事です。

(あくまで日本国内で有事の際の、現在の主原因としての考察です)

 

具体的に言えば、

外貨運用中に予定外のミサイル発射で運用計画が不安視され、資産の急変動や乱高下を嫌がる投資家が一旦投資金を引き上げるイメージです。

 

また、大規模な震災では、企業が工場や取引先などで直接ダメージを受ける事が多く、修繕や対応に現金(日本円)を余儀なくされる為、必然的に円が買い戻されます。

 

平たく言えば、有事の際は多くの人が、投資に回す余裕がない、ということですね。(⇐ここスゴイ大事)

実需投資、の両面からレパトリが促進されるという訳です。

 

ちなみに、ではなぜドルで同じこと(レパトリ)が起こらないのかというと、ドルはそもそもドルのまま持たれている割合が多い事が理由として考えられます(キーカレンシーの為)

日本人が円をドルに替え、そのドルを使って様々な資産を取引する事は利便性も有益性もありますが、アメリカ人がドルを円で持ち、円を使って取引や商売する事に強い旨みはありません。

勿論レパトリが一切発生しないという事も無い筈ですが、全体の影響度は小さいと推測できるのです。

 

 

有事はナニ買い?

有事のドル買いはウソ?

「有事のドル買い」という言葉ありますが、上の例ではどちらもドル安になっています。

長く続いた世界経済アメリカ一人勝ちの状況では当然にドルが最強で、最も信頼される通貨と言えます。

この為、発展途上国などハイリスクハイリターンの市場へ投下している投資金が、当事国有事の際はドルに人気が流れるのは普通の流れです。

しかし、同時多発テロやサブプライムローン問題、リーマンショック以降、新興市場国の台頭もあり、状況は変化しています。

 

有事のスイスフラン買いは本当?

永世中立国であるスイスは安全資産として有名で、また銀行の安全性・秘匿性・利便性などから、有事がある度に人気を博してきた通貨と言えます。

しかし、記憶に新しいスイスフランショックは、大手ブローカーが一夜で破綻に追い込まれるほど大打撃がありました。

国家として大胆な為替操作も即座に発動されるので、決して安心とは言えないかもしれません。

USDCHF日足チャート
USDCHF日足  改めて見ても無茶苦茶;

 

対策:結局どうすればよいか?

有事の○○、とステレオタイプに決めつけていると、足をすくわれます。

有事の○○とは、有事の際の資金の流れの結果を示したものです。

過去には正しい事であり、現在でも一理ありますが、理屈も分からず○○買いと覚えても意味がありません。

 

例題シュミレーション

南アフリカ有事 → 

問題)例えば、南アフリカで災害が発生した場合、ランドはどうなるでしょうか?

過去の傾向から、

日本で震災があれば、直後は円高に動く可能性が高いと予測できますが、南アで激甚災害が発生した場合は、ランド高になる公算は高くありません。
外貨に替えられているランドが少ないと考えられるからです。

マイナー通貨(ランド等)なら、外貨(ドル)に替えて運用されている可能性が高く、レパトリでランド高が発生しやすいという考えも確かにできますし、勿論現地ではランドのニーズが上がるのですが、
日本の場合は不況と言えども世界有数のお金持ち国家の言わば債権国だからこそ、レパトリの影響が色濃く出るのであり、
小さな国の場合はレパトリの影響も限定的で、そもそも通貨の流通量自体が少ない為、レパトリがあっても他通貨に与える影響力が小さいと考える事ができるからです。

また、円高の可能性も低いです。
日本人投機家が行っているランド建てをレパトリする事は考えられますが、前述のようにマイナー通貨の為、運用されている量が少なく影響も限定的と考えられるからです。

 

日・米・南ァ、で同じ事が起きても、同じ結果にならないのは、同じ理屈によるものなのです。

 

 

何が言いたいかと言うと、

 

問題は、

その国と通貨の特性、投資家心理が大事という事であり、

 

こう来たらこうという情報をそのまま使うのでなく、

理解した上で、自分で考えて答えを導く(行動の準備をする)力が何より大事という事です。

 

時代や情勢の変化で、「○○買い」は随時変化すると考えるべきです。

トレード力とは知識ではないのですから。

 

まとめ:有事の際は、乗じて同ぜず

有事の際はニュースも情報が錯綜しますし、スピードにおいてもプロの情報網には太刀打ちできません。

 

有事はいつくるか予測できないので、異常な動きを示す価格帯にアラートを設置しておくのが私の方法です。

フランの際もあのラインにアラートを張っていたので、ニュースより先に知る事ができました。

 

値動きをアラートで受け取るという事自体、情報戦で後手に回っている証拠といえますが、個人が最速で把握するのはプライスアクションの動きを監視するのが一番確実かと思います。

対策

・監視を怠らない

・資金の安全確保

・予め行動を決めておく
(感情で動かない為)

→これらによって、パニックにならずに、決めておいて行動を取る

欲を言えばこれらを仕組み化しておく。

 

 

パニック相場で大衆と同化して慌てるのでなく、上空目線で冷静に判断して、予定通りに波に乗る事ができれば上級者の仲間入りと言えるでしょう。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

 

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