前回(為替介入予測論①)は「介入の時」は絞れるという論理的な考察の話でした。
今回は、それをどう感知するのかという、現実的な対策の話です。
机上の空論で終わらせず、介入の瞬間をどう捕まえるか、です。
どんなニュースより、価格が速い
「事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ!」よろしく、「介入の第一報はニュースじゃない。チャートに出るのが先なんだ!」
と、まずは叫ばしてもらいます。
介入は必ずサプライズ
介入は完全サプライズが原則です。そりゃそうです。市場に読まれたら覚悟の介入が無力化されるし、知っている人が利用すればインサイダーです。介入は秘密裏に行われるから介入なのです。事前告知はされません。財務省が「今から撃ちまーす♡」とは、言いません。記者が介入に気づいて速報を打つ頃には、チャートは既に動いた後です。

事件が起きる前に記事にできる記者がいない様に、介入が起きる前に介入を知る術はないのです。
つまり、ニュースを監視するより、チャートの異常を検知する方が構造的に速いです。
補足:一応「予兆」はある
価格が最速なのは確かなんですが、一応、その前に段階的な予兆もあると言えばあるので言及しておきます。
1・口先介入の語彙エスカレーション
「注視している」→「適切に対応する」→「高い緊張感を持って」→「あらゆる選択肢を排除しない」→「断固たる措置取る」→「最後の退避勧告」
こんなカンジで財務相の発言が段階的にエスカレートしていきます。まあ、口先介入で止まらないから語気を強めているだけとも言えるんですが、語彙の強さを追いかけていると、山場が近づいている雰囲気はあります。結局このあと実弾が来ました。
「お?やるぞ?」→「ぜってーやるからな」→「本気(マジ)だぞ」→「明日覚悟しとけよ」「これが最後の警告だぞ」、、みたいな。やるやる詐欺みたいなモンですが。。。
2・ レートチェック報道
当局が銀行のディーリングルームに電話で「今いくら?」と気配を尋ねる行為をレートチェックと言います。これ自体は非公開ですが、ディーラー筋から通信社に漏れて速報になります。財務省がレートチェックを入れるという事は→これからなんかする気だな、という事で市場は一気に介入を警戒します。財務省が行動に移しているという事で介入の現実味が帯びるからです。

と、まあこの2点が介入前の予兆と言えますが、レートチェックに関してはほぼ事後報告なので乗るのは難しいです。口先介入は、まさに口先三寸で毎回振り回されるので、予兆ではあるが確定とは言えない。
そんなこんなで、やっぱり確実なのは価格の異常値なんです。
介入当日の値動きは「4〜6σ」の異常事態
ドル円の1日の標準偏差(σ)は、普段はだいたい1円弱(過去数か月の日次変動幅の平均的なブレ幅として算出。こういうのは最近のAIに聞けばすぐ教えてくれます。良い時代になりました。
一方、過去の介入日の値幅は◆ 2022年10月21日:約7円 ◆ 2024年4月29日:約5.5円。7円 ÷ 1円弱、5.5円 ÷ 1円弱。単純に割り算すると、介入当日は普段の4〜6倍の値動きが1日で起きている計算になります。ボリンジャーバンドで言えば4〜6σ級。「めったに起きてはいけない日」が起きているわけです。
逆に言えば、この異常さが検知の手がかりです。「普段の何倍動いたか」を監視していれば、介入級イベントが釣れるという訳です。
もちろんProBBでもこの6σタッチを捉えて知らせる事ができます。
異常事態の異常事態
介入の瞬間は、次のことが起きます。
- スプレッド数倍〜数十倍
- スリッページ拡大(ストップロスが滑りまくる→不利な価格で約定)
- ボラティリティー拡大(数分で1〜3円)
円売りポジションを持ったまま介入を食らうと、逆指を置いてたとしても想定通りに切れない事があります。高値更新局面(現在で言えば162円とか)で「まだ大丈夫」とナンピンを重ねるのは危険なパターンです。
相場が異常事態なら、トレーダーも異常事態です。
私自身、急変動で痛い目を見たことは何度もあります。人は24時間チャートを見られません。これは根性とか才能の問題でなく、構造の問題です。だからツールが必要なんです。
ただ、ひとつ言える事は、異常事態≠最悪の事態(ノットイコール)と言う事。異常事態だからといってトレーダーにとってその事が最悪とは限りません。世界恐慌、世界株安、バブル崩壊、ゼロサムゲームと言われるその中で、多数が負けるその環境は、一部が爆益を得る瞬間に他ならないからです。トレーダーの縮図とも言える状況が見て取れるのがこの荒れ相場な訳です。
まとめ:監視は機械、判断は人。

結局、確実なのは値動きで、その値動き監視は機械にやらせるのが最も精度が高く、最後は人による判断が不可欠って事です。方針はこれで決まりです。次回最終回は、どんな数値を監視すれば良いか。まで掘り下げます。
- 前回:介入は理屈で予測できる
- 今回:介入の捕捉は機械監視が最適解
- 最終回:では具体的に、どこを何でどう監視するのか。そこが最後の砦になります。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
追伸:7/14、介入ありませんでしたね。今回は何事もなく「行ってこい」でした。ですが、これからも引き続き監視は怠らず注視していきましょう。トレーダーの仕事の大部分は監視なのですから。あと、もうすぐProBB5公開します。お楽しみに。それではまた次回。
