リスクリワードと損小利大は似て非なる
読者さんからのお頼りを読んでいてちょっと思ったんですが、この2つ、同じモノと混同している人も多いんじゃないかな、と。
真面目な人ほどかかるワナがあると思いましたので、急きょ取り上げます。
「スローガン」と「ものさし」
チャッピーに聞くとこんな答えが返ってきました。
- 損小利大=「損を小さく、利益を大きく」という理想の状態・方針(スローガン)
- リスクリワード=その方針を数字で見える化した指標(ものさし)
まだ分かり辛いですよね。やはり私なりに説明してみます。
例えば
※冒頭で伝えた読者さんとは無関係です。物語はフィクションです
むかしむかし、あるところに一回あたりのトレードリスク10,000円のおじいさんがいました。
あまりに負けるのでこりゃいかんと思って、一回の許容リスクを1,000円に下げました。これまさに「損小」の考えです。損切りを短くしダメージ最小限で逃げる。これはいいことだと、おじいさんは自分を愛でました。利確ターゲットを変えなければ損小利大の完成です。おじいさんは遠くを見ながら安堵しました。
ある嵐の日、ALERTが鳴るのでいつものエントリーポイントで入ろうとしたら、相場は重要なクラスター(参加者のSL.TPが集中するところ)であり、ここでエントリーすると最大10,000円のリスクを取る必要がありました。おじいさんは損小利大の理念を体現すべく鉄の意志でエントリーを見送りました。
ここが問題です
仮にいつもやってる「リスク1,000円トレード」の平均利益額が2,000円(損益比1:2)だとします。
そして今回の嵐の日のトレードの見込みリスクリワードが、1:10であるなら、10,000円のリスクを負ってでもトレードするに値するという事です。
厳しく言えば、おじいさんは1,000円ルールを守るために、10万円の期待値を捨てたのです。

おじいさんのいつものトレードスペック
- リスク:1,000円
- 平均利益:2,000円
- リスクリワード:1:2
今回の嵐のトレードスペック
- リスク:10,000円
- 見込み利益:100,000円
- リスクリワード:1:10
リスクの絶対額は10倍ですが、リスクリワード比は5倍有利です。
いつものトレードで100,000円プラスにする場合、最低50勝必要です。その50戦で相場に晒した合計リスクは50,000円(1000×50)です。50戦というのは最速で50連勝した場合の計算なので実際にはもっと大きくなります。
一方、嵐トレードは同じ100,000円の*利確ターゲットに対して合計リスク10,000円
「損小」とは、常に最小金額で張ることではありません。利益に対してリスクが小さいこと、つまり比率の話です。
RR1:10のセットアップなら、絶対額のリスクが普段より大きくても、それは損小利大の精神に沿っています。むしろそこで見送るほうが「機会損失大」です。
ファール、ファールで、散々粘って、勝負球を見送ってバッターアウトです。次の打席もあるので焦る必要はありませんが、「振って良かった」んです。
良いでしょうか?誤解を恐れずに改めて言います。
このいつもコツコツ1000円トレードしていた実直な翁は、翁のルール上、そのセットアップが優位性のある場面だったなら、今回はそのコツコツの禁を破ってでも、10,000円勝負をする方が合理的だったのです。というより、この1:10のチャンスを捉える為にいままでコツコツ頑張って資金を維持してきたのです。
「いま勝負しなくて、いつ勝負するのだ。」とクシャナ(ナウシカに出てくる人)なら言うでしょう。
※もちろん全財産ブッ込むとはダメですよ。分かりますよね。言ってること。損益比率の話をしてます。
注意:上記のリスク比較(50,000円と10,000円)は本来、フェアでありません。一度の取引と複数取引では状況が異なるからです。実際50連勝はほぼありえませんし、実際には、利益が積み上がれば途中で資金状況も変化するため、単純に累積リスクだけを比較することはできません。あくまで今は「損小利大」だけに偏らないための例え話です。
損小利大とは

損小利大の本質は、「負けるときは小さく、勝てるときは大きく」というトレードの黄金律。
ジェシー・リバモアはこう言っています。
「利食いは常に早すぎ、損切りは常に遅すぎる」
人間の心理は放っておくと自然に「損大利小」へ向かってしまう。傷口を見て見ぬふりして、含み損が膨らむ。少し利益が出たら怖くなってすぐ利確する。
損小利大とはその人間の本能に逆らう姿勢のことです。哲学です。
単なるテクニックではなく、トレードへの向き合い方といえます。
リスクリワードとは
リスクリワード(Risk/Reward Ratio)は、1回のトレードで「どれだけ損するか」と「どれだけ得するか」の比率のこと。レシオ(ratio)とは比率の事です。
リスクリワード = 利確幅 ÷ 損切り幅
- 損切り幅:20pips → リスク
- 利確幅:40pips → リワード
- リスクリワード:1:2
勝率との関係(つまり期待値)
RR1:2なら、勝率33%以上を維持しなければ負けます。
勝率50%なら、RR1:1より上でないと負けます。
| リスクリワード(RR) | 損益分岐となる最低勝率 |
| 1:1 | 50% |
| 1:2 | 33% |
| 1:3 | 25% |
| 1:4 | 20% |
勝率だけ、あるいはRRだけの成績を見てもほとんど意味はありません。
リスクリワードが1:3なら、4回に1回勝つだけで理論上はトントンになります。「7割以上勝たないといけない」と思っている人は多いですが、RRがよければ勝率は低くても稼げる構造になるわけです。まさに私が公開した売買データがこれでしたね。
※実際の計算では手数料やスプレッドも考慮する必要があります
まとめ
偉人 → 渦中の栗を拾うなかれ。だが、虎穴に入らずんば虎子を得ず
意訳 → 少額トレード自体は間違いじゃない。でもチャンスが来たら振っていけ
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
