オプティマルfとは何か→ケリーを自分化する手順

1回のトレードで、資金の何%まで負けていいのか。

一回のトレードで負うリスクには資金が一番増える賭け額があり、自分の取引結果から割り出せます。それを求める方法がオプティマルfです。

なんとなく「1%」「10000円」でトレードするのでなく、利益を最大化する、根拠あるリスク値を設定しようという試みです。

前回のケリー基準は、「勝てば+1万円、負ければ−1万円」のように、勝ちも負けも金額が決まった勝負にしか使えません(前回の記事)。

利伸ばし、建値逃げ、部分決済で、結果がバラバラな裁量トレードには、そのままでは使えません。

fとは「最悪の負けが、もう一度来たとき」の痛み

「オプティマルf」は、結果がバラバラでも、過去の取引をそのまま使えます。ケリー基準の弱点を補える方法と言えます。
ただしSLを入れて売買(損失額を決めてトレード)していて、30回以上の履歴がある事が好ましいです。

fの意味は、次のように説明できます。

f = これまでで一番大きかった負けが、もう一度来たとき、資金の何%を失うか

つまり「f=0.09」なら、最悪の負けが来ると「資金の約9%が消える」。そう決めたとき、長い目で見て資金が一番増えるfを探します。

注)ここ述べているのはオプティマルfの理論や考え方です。私自身が実践で採用しているものではありません。資金管理の知識として参考に留めてください。投資やfによる投資額を推奨するものではありません

オプティマルfの式

式は、ケリー基準と同じく短いものです。

1取引ごとの資金倍率 = 1 + f × その取引の損益最大の負け

最終資金 = 全取引の資金倍率を、かけ合わせたもの

オプティマルf = 最終資金が最大になる f

損益は、すべてR(SLに当たったときの損失を1とした単位。円ではありません)で表します。損失1万円で利益2万円なら+2Rです。「最大の負け」は、一番大きかったマイナスの損益を、プラスの数にしたものです。最大の負けが1.3R、f=0.09、+2Rの勝ちなら、1 + 0.09 × 21.3 = 約1.14倍です。

自分だけのfの求め方

fは過去の最大損失から求めるので、各自の売買履歴から算出できます。

f算出の手順

  1. 履歴を取る(集める): エントリー値、SLの値段、ロット、損益を、MT5の口座履歴から1件ずつ表に写す。最初のSLが分からない取引は、結果に関係なく外す
  2. 損益をRに直す:R=損益÷許容損失(SLに当たったときの損失)。許容損失は「SLまでのpips × ロット × 1,000円」(円ペア)。例:20pips・1ロットなら2万円。損益+4万円は+2R
  3. 賭け率を変えて、最終資金を計算する: 賭け率は、1回の許容損失が資金の何%か。1回ごとに「1+賭け率×R」倍になり、全取引でかけ合わせる。これを1%から30%まで、Excelで繰り返す
  4. 一番増える賭け率を選び、fに直す: f=賭け率×最大の負け

例として、架空の40回の取引を使います。結果をRで数えると、−1.3Rが1回、−1Rが19回、0Rが4回、+0.5Rが3回、+1Rが5回、+2Rが6回、+3Rが2回(勝ち16回、負け20回、引き分け4回)。この40回に、手順3の計算を、賭け率ごとに当てはめた結果が、次の表です。

賭け率 40回後の資金
1% 1.039倍
7% 1.144倍(最大)
15% 0.931倍(元手割れ)
30% 0.238倍

最大の負けは、SLをスリッページで少し超えた1.3R。7%×1.3=f 0.09です。上げれば増えるのは、途中まで。

この4手順を、今はAIが一発でやります。

最も簡単な方法

ここまで書いておいてなんですが、ケリーにしろfにしろ、小難しい計算は今や不要です。MT5には標準でAIが搭載されているのでズバッと依頼してください。

AIに依頼する

  1. 取引履歴をCSVで用意する。損益とロットが入っていれば足ります。TV5(当サイトの売買履歴ツール)なら、MT4の履歴さえAI分析できます。表への手写しは要りません。もちろんMT5の口座履歴でも構いません。
  2. AIに、こう頼みます。

    私の取引履歴を見て、オプティマルf(ラルフ・ヴィンス)を求めてください。

  3. もしAIに「取引履歴が見つかりません」と言われたら、

    TV5というインジでcsv出力している筈です。探してください。
    と言えばOKです。

  1. 答えを検算する。AIに「そのfで、取引ごとに資金が何倍になったかを、途中の計算つきで見せて」と聞き返す。計算ミスは、AIでも起きます。検算の式は「1+f×(損益÷最大の負け)」です。例:f=0.09、最大の負けが1.3R、+2Rの勝ちなら、1 + 0.09 × 21.3 = 約1.14倍。これを全取引でかけ合わせたものが、そのfの成績です。

ただし、計算結果が0以下(マイナス)になる場合、ロットは算出されません。前回説明のとおり、利益のでないものには何を賭けても無駄なので、エントリーそのものを回避する結果が返されます。

出たfは、そのまま使わない

めでたく0以上の数値(プラスの計算結果)が出たとしてもそのままでは危険です。

0.09は「ここから先は危ない」という線です。サーキットの最速ラインと同じで、路面の読みが少しズレた瞬間に、壁に当たります。過去データは、その路面の読み。件数が少ないほど、読みは荒い。私のシミュレーションでは、30回分から出した数字が、本当の値の2倍以上にブレることが、100回中14回ありました。だから、件数で下げます。

取引の件数 かける倍率 f=0.09のとき
100回以上 2分の1 0.045
30〜99回 4分の1 0.0225
30回未満 まだ使わない ―

例は40回なので、4分の1のf=0.0225。SLどおりの負けが10連続した場合、最適のfなら資金は約半分に、4分の1なら約84%で済みます。

最後に、ロットに直す

fが出たら、ロットはこの式で決まります。

ロット数 = 口座残高 × f最大損失額(1ロットあたり)

分子は「失ってよい額」、分母は「1ロットで持ったときの、過去最悪の負け」。割れば、最悪の負けがもう一度来ても、失うのがちょうどf(資金の○%)で済むロットになります。最大損失額は、AIに「一番大きい負けを、1ロットあたりの円で教えて」と頼めば出ます。

例:SLが25pipsで、最大の負けが1.3R。1ロットあたりの最大損失額は、25pips × 1,000円 × 1.3 = 32,500円です。残高100万円、f=0.0225(40回なので4分の1)なら、100万円 × 0.022532,500円 = 約0.69ロット。

ProEN(当サイトの注文補助ツール。チャートの線を引くだけでロットを自動計算)なら、この計算も要りません。「詳細設定」で「定率」を選び、「額/率」に、f最大の負け(R) = 0.02251.3 = 1.73(%の数字。0.0173ではありません)。Lotは触らず、SL線を引けば自動で入ります。pipsの数え間違いも、電卓も要りません。最大の負けが1R前後(SLとほぼ同じ)の人は、fの%がそのまま入ります。

最適であっても、快適ではない:DDで資金が7割減る

最適な賭け方は、資金が一番増える賭け方であって、一番眠れる賭け方ではありません。袋からおはじきを引いて資金が増減するゲームを、10万回シミュレーションすると、一番増える賭け方の最終資金は中央値で41.5万円(元手10万円)。ところが、途中の最大DD(ドローダウン)は中央値で71%。7割減る場面を、通り抜けます。

半分にすると、最終資金は約75%(31.2万円)で、最大下落は44%。増え方をほんの少し譲って、下落を大きく削れます。

賭け率ごとの60回後の資金を並べた山の形のグラフ。8%で最大の41.5万円、約17%を超えると元手10万円より減る
賭け率と60回後の資金(10万回試した真ん中の結果)。上の軸がオプティマルf、下の軸がケリー基準の数え方(クリックで拡大)
同じ60回の引き方で賭け率だけ変えた資金推移の例。8%は39.5万円、20%は4.3万円で終わり、20%は途中で大きく落ち込む
同じ60回の引き方で、賭け率だけを変えた1例。賭けすぎると、途中で大きく落ち込む(クリックで拡大)

私は、使っていません

結局使ってねーのかよ!wと思われたかもしれませんが、この事は8年前から言っています。しかしケリー基準やオプティマルfをの考え方自体は踏襲しています。資金管理ひとつで勝ちも負けもひっくり返るので、この考え方は非常に重要です。

2018年の記事で、オプティマルエフやマーチンゲールなど資金管理の最適化は「深みにハマると大変」と述べています。
2020年の記事では、これらを検討したうえで、独自の資金管理表に基づく変動ロットに落ち着いていると延べています。
今は、1回の負け額を先に決めてロット計算はProENに任せています。

今になってケリー基準やオプティマルfを題材に挙げた理由は、この「深みにハマる資金管理」が、AIとProENによってお手軽になったからです。もう、エクセルを使ってどうのこうの計算する必要はありません。電卓もいりません。むしろ計算式さえ覚えなくて良いのでそこで「ハマる」事もないでしょう。

よくある質問

取引は何回分あれば使えますか?

30回が最低ラインです。数値のブレが大きくなるからです。

ケリー基準の代わりに使えますか?

結果が2通りにまとめにくいときは、代わりに使えます。勝ちと負けが1種類ずつなら、答えはケリー基準と同じです。

出たfを、そのまま使っていいですか?

お勧めしません。土台は過去の結果で、新しい負けが出れば数字は変わります。半分か4分の1に下げて、試してください。

補足:8%と0.24はなぜ違う?

(前回の記事を読んでいない方は、読み飛ばしてOKです)前回の記事のゲームの答えは「8%」。オプティマルfでは「0.24」。同じ賭け方の数え方違いです。

ゲームでは、最悪の負けが3R。1回に出すお金が資金の8%なら、最悪の負けで失うのは 8% × 3 = 24%、つまりf=0.24。おこづかい1,000円なら、「1回に出すお金」で数えると80円、「最悪の負けで消えるお金」で数えると240円です。

ゲーム2の袋の払いと、1Rが資金の8%(ケリー基準)、最大の負けで資金の24%を失う(オプティマルf 0.24)
同じ賭け方を、2つの数え方で言う(おこづかい1,000円なら、80円が8%、240円が24%)(クリックで拡大)

まとめ

  • fは「最悪の負けがもう一度来たとき、資金の何%を失うか」。一番増えるfは、過去の取引から出せる
  • 計算はAIに丸投げ。CSVを渡して「オプティマルfを求めて」
  • 出たfは「危ない線」。件数で、半分か4分の1に下げて使う

 

ケリー基準やオプティマルfの使用を推奨している訳ではありません。

これらの考え方を参考に資金管理の重要さを理解してもらうのが目的です。

その為には資金管理ゲームで実体験してもらうのが解り易いと思います。

もっと知りたい人へ(Amazonアソシエイトのリンクを含みます)

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

関連記事:ケリー基準とは/資金管理ゲーム

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