先般、発見&公表されたPHPの脆弱性を付いた攻撃とされる、GMOの「お名前.com デスクトップクラウド」(FX自動売買VPS)の被害について。
厳密にはPHP脆弱性とVPS被害の因果関係は、2026年10月24日時点で、公式には発表されておらず調査中の扱いです。
ただし同じ週の出来事で、現実にFXトレーダーに被害が出ている事から心配されている方もいるとも思いますので調べてみました。
尚、当サイト(自社の運営サイト全て)はサーバー会社の自動更新により、最短で即時修正版PHPのVerに更新されている事を報道の直後(10/22)に確認済です。ご安心ください。またサイト内で使用している全プラグインは最新版に更新済です。なお販売サイトinditankではユーザーのクレジット他、金融情報は取得していません。世界大手PayPalのセキュリティ経由の決済となります。重ねてご安心いただければと思います。
トレーダーの身に何が起きた?
あるトレーダーは、計400万円超の損失(発注、即決済?)が実行されていた。売買履歴上、2秒間で行われており、気づいた時には遅かった。事前に気づく事は不可能に近い。
同様の事例が多数報告されている。
これらはVPSサーバーで運用中の口座であった。
ハッカー集団の声明によると「合計77億円の口座を破壊した」とされる。
GMO(お名前ドットコム)で何が起きた?
VPSサーバーがハッキングされ、ログイン済み(稼働中)のユーザーの口座に無防備にアクセスされる状態になっていた。と思われる(10/24時点で推測の段階だが、恐らく、正しい。)
※VPSとは、ネット上にある電源入れっぱなしのPCのようなもので、ユーザーはこれを利用して自宅のPCを閉じていても24時間EAなどを稼働できる。広く知られている一般的なサービスである。基本的には24時間自動売買を行う為に用いる。
なぜハッカー集団は他人の口座でわざわざ損失トレードを発生させる?
「口座破壊」の前段階で、窃取した情報や侵入権限を盾に、GMOに対して金銭(身代金など)を支払うよう脅迫・要求したが、GMO側が沈黙(無視)し続けた為、予告通りに口座を破壊している。
この攻撃は現在も継続中で、GMOが沈黙を辞めて要求に応じるまで続け、さらに単なる口座破壊にとどまらないより深刻な被害をもたらす攻撃も予定しているとの事。
平たく言うと?
自宅PCでFXトレードしていた。そのまま離席した。その間に、空き巣に入られた。
空き巣はログインの為のアカウント情報を知らないが、ログイン状態のPCが目の前にあるので売買できる。(ログインする必要さえない)
PC内(厳密にはVPS内にある情報)は全て触れるので、個人情報などへもアクセス可能。
こんな感じで捉えてOKだと思います。
GMOの対応は?
最も流動的なのがGMOの対応だと思うので、明確には述べられませんが、執筆時点の最新情報では被害にあった各ユーザーへ5000円の見舞金の支給と、別途補償を検討しているとのこと。
※先述のとおり、流動的な対応になると思うので確実な事は理解っていません。変更や撤回も想定しておく必要はありそうです。
尚、大規模なIT・インフラ企業は、この様な被害にあったときの為のサイバー保険に加入している事が一般的だそうです。
同じ週に起きた2つの事件を、並べてみる
因果関係はまだ不明ながら、並べると時期は一致します。
| 日付 | PHP側 | GMO側 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 10/19 | - | 利用者からの問い合わせで調査開始 | 報道 |
| 10/20 | 脆弱性の情報が先に漏れた(報道) | 一部の利用者のサーバーに不正なプログラムを確認。新規申込と管理画面を停止 | 公式/報道 |
| 10/21 | 23時(日本時間)に修正版を公開 | 全プランのサーバーを順次停止(第1報) | 公式/報道 |
| 10/22 | 国内の各社が修正を適用 | 取引口座のログイン情報が取得・悪用された可能性(第2報)。警察に相談 | 公式 |
| 10/23 | 追加の脆弱性1件を告知 | 第3報。全プラン停止中、再開は未定 | 公式 |
GMO側の数字は「影響の可能性があるサーバー 26,739件」。GMO自身が「不正侵入や情報流出が確定した件数ではない」と書いています。被害の全容はGMOも調査中です。
GMOからはPHPという言葉は出ていません。因果関係は今のところ不明です。
古いPHPの穴の、何がまずいのか
ログインなしで入れるという事に尽きます。先に説明したように、開きっぱなしのPCの中でトレードシステムが動いていて、その操作をするだけなので、ログインを突破する必要がないんです。ユーザーがどんなに堅牢なパスワードにしていても無駄です。
なので、ユーザーの危機管理能力ではなく、古いPHPのまま動いているサイトが、いちばん危ないです。
改めて言いますが、当サイトは関連サイト全てサーバー会社による自動更新で最新版に保たれています。プラグインも最新版です。
FXトレーダーが、今日のうちにやっておくこと
GMOが呼びかけている内容と、私ならこうする、というのをまとめておきます。
今後、GMO以外でも類似の被害が出るかもしれません。参考になればと思います。
- 取引口座のパスワードを変える(VPSとは別の端末から)
- ログイン中のセッションを切る※重要
- 取引履歴と残高を見て、身に覚えのない取引がないか確かめる
- 二段階認証が使えるなら入れる
- 同じパスワードを他で使い回していたら、そちらも変える
- 「補償します」「返金します」を名乗るメールのリンクは開かない(GMOも注意を出しています)
- 口座を複数持ち、全てパスワードを変える
- VPSで使う口座と、自宅の口座は分ける
- 信頼のおけるVPS業者に乗り換える
- 同一VPS内に複数口座を置かない/VPS業者を分ける
- 1口座に資金を集中させない
VPSは、自分の口座の鍵を置いた別宅です。別宅の鍵が壊れると、本宅の資産まで動かされます。VPS内の被害が自宅まで拡大します。そこで、VPSを使うなら、監視だけの口座(VPSでしか使わない口座)と、売買する口座を分けておくのは有効かと思います。
よくある質問
PHPの脆弱性は、どんなサイトに関係がある?
PHPで動くサイト・PHPで動くものを使うサイトで、PHPの版が古いと影響を受けます。PHPを使用しているサイトは全体の約7割に当たります。この為、殆どのサイトが該当しますが、問題があるのは”古いPHPのまま放置”されているケースです。
なぜ放置されている?
PHPは随時新Verが出ていますが、旧Verにしか対応していないシステムを使っている場合、PHPの新Verに変えるとそのシステムが使えなくなるので、旧PHPを使い続けるケースが殆どです。※MT4とMT5の関係に似ています。MT5(新Ver)へ対応したくても、ツールがMT4にしか対応していないので、古いMT4(旧版)をずっと使い続けている、と、言えば解り易いと思います。
GMOの被害に、PHPの脆弱性は関係している?
公式には示されていません。GMOは侵入経路を調査中で、第3報(10月23日)にもPHPの記載はありません。分かった時点でGMOが発表するはずです。
GMOのFX VPSを使っています。何をすればいい?
上のリストの順番で。まずVPS以外の端末から、取引口座のパスワードを変え、セッションを切る。それから残高と履歴の確認です。
GMOに直接問い合わせるのが筋ですが恐らく、ユーザー対応でパンクしていると思います。サポートに繋がるのを待つより自衛下方が早い可能性が高いです。
出典
- 公式:GMOインターネットグループ お名前.com デスクトップクラウド 第3報
- 公式:お名前.com お知らせ 第2報
- 公式:GMOトラスト・ログイン お知らせ
- 報道:ITmedia NEWS お名前.comのFX自動売買VPSに不正アクセス
- 報道:gihyo.jp PHP、重大な脆弱性2件を修正
※本記事は必要充分な調査を行っているつもりですが、あくまで第三者の立場からの情報提供・情報共有であり、特定の内容を保証するものではありません。
余談
実は私は、ブログを始めた当初、もっとも有名だったお名前ドットコムで、メルマガ配信も始めました。ただ、運営の杜撰さ(このタイミングで言うのは便乗するようであまり良くないですが、、)に少々疲れ、何度もメールでやり取りをした結果、3ヶ月程度で解約して新たに別会社で配信システムを探すことにしました。さらにドメイン管理も移管してお名前ドットコム関連のサービスの使用は全て切り離しました。それほど、関わりに懸念を持っていました。非常に安価なのが魅力的だったのですが、この経験を経て、金額でなく、提供されているものの質が大事と強く思うようになり、結果的に目利き力(トレード力)の向上に役立ったエピソードとして戒めに近い教訓を得るに至りました。良いサービスも沢山されていると思いますが、今回の件を受けてネットで情報収集していると似たような意見が散見され、やはり私だけではなかったんだな、と今になって感じました。このようなGMOへの口コミを始めから見ていれば事前に防げたかもしれません。
今回の件はFXトレーダーにとって大きな関心事だと思います。ぜひ良き前例として補償だけは頑張って欲しいですね。GMOがサイバー保険に入っているなら恐らく大丈夫だと思いますが、含み益の長期ポジションなどは帰ってこないので、やはりその点は気の毒ですけどね。
今後の動き
現在GMOは、刑事事件として取り上げ、かつ高度なサイバーセキュリティ対策は民間企業で不可能であるとして、政府に対し能動的サイバー防御を要請しています。結果はまだわかりませんが、今回の事があるなし関係なくこの様な対応は今後検討されていくでしょう。
以上、参考になれば幸いです。
