広大な市場の大海において個人トレーダーは水しぶきに満たない弱者です。トレーダーの動きは、さざ波でさえありません。
弱者が強者と同じ土俵で戦えば負け確です。では、強者相手に弱者が戦場で生き残るにはどうするか。
選択肢は3つ。逃げ回るか、強者の側に付いて共闘するか、意表を付いた神出鬼没のゲリラ戦、です。
今回はこのゲリラ戦「ランチェスター戦略」についてのお話です。
ランチェスター戦略とは?
アメリカが第二次世界大戦での軍事作戦に応用して大きな成果を上げた戦略で、元は1916年に英国のエンジニア、F.W.ランチェスターが第一次世界大戦を分析して提唱した戦闘の数理モデル(『Aircraft in Warfare』)です。
ランチェスター戦略は
- 第一法則:弱者の戦略
- 第二法則:強者の戦略
から成り、弱者戦略である第一法則の考え方は
第一法則
- 戦術:正面から戦わない
- 戦力:戦闘力 = 兵数 × 武器性能
とされます。第2法則はここでは不要なので割愛します。
ちなみに、このブログでは過去にもランチェスターに触れています。FX兵法 風林火山、大多数が相場を勉強して負ける理由もあわせてどうぞ。
2019年、FX 弱者のゲリラ戦 後編の記事は、待ちに待ったチャンスに資金を集中させる濃縮還元ジュースならぬ、濃縮還元トレードな話です。リスク総量(月間最大損失)はいつもどおりなので月間リスクを増やさずに利益拡大を狙うゲリラ戦法です。
今回は「待った末のチャンス」というより「不意に訪れるチャンス」をものにするゲリラ戦法で、単体トレードでもリスクは不変。ただし前回同様いつ来るかは解りません。ですが知っていればチャンスを活かせる、知り得の戦法です。
FXに置き換えると?
会社経営にも応用されるランチェスター戦略ですが、FXに置き換えるとどうなるか。
ちなみに軍事戦略・技術は、いつの時代も後の一般生活に応用されています。FXへの応用も決してこじつけでは無いと思っていますが、あくまで個人の考えです。「ランチェスターを使うと勝てるぜ?」という聖杯的な主張ではないのでご承知おきください。
私は次のように置き換えています。
- 戦力 = 資金(1回に賭ける分が許容損失1R)
- 武器性能 = 戦力を拡張するツール・インジなど
- 局地戦 = SLが狭く、倍率が大きくなる局面
- 戦力の集中 = その局面で1Rを使い切るようロットを上げること(ロットの集中)
1R(アール)とは
1回のトレードで「ここまでなら負けてよい」と決めた金額のことです。SL(損切り)にかかったときの損失額が1Rです。R は Risk(リスク)の頭文字です。
- 口座100万円で、1回の許容損失を1%にするなら、1R=1万円
- 損益は、Rの倍数で表します。1万円負ければ −1R、3万円勝てば +3R(損失の3倍の利益)
- SLが広くても狭くても、1Rの金額は同じ。そのためにロットを調整します(EUR/JPYで1R=1万円なら、SL20pipsはロット0.5、SL10pipsはロット1.0)
つまり1Rは、「1回に賭ける資金(戦力)」の大きさを表す単位です。詳しくはオプティマルfの記事参照。
「兵数が限られるなら、局地戦に集中させて使い切る」という発想です。新しい技法でなく、1R一定のロット計算と同じ構造(すでにそうしている人は、結果的にこの形)を「局地戦」として捉え直したものです。
賭ける資金(許容損失/リスク)は増えず、勝率は変わらず、勝った時の利益は増えます。
数字で見る
口座100万円・許容損失1%(1万円=1R)・EUR/JPY(1ロット10万通貨、1pips=1,000円)。普段はSL20pips・ロット0.5(ロットとSLは片方で決まる。ProEN5の予告記事と同じ前提)。利幅は、SLに関係なく30pips取れると仮定します。
| SLの幅 | 普段のロット(0.5)のまま | ロットを上げて負けを1万円に固定する |
|---|---|---|
| 20pips(いつもの幅) | 勝ち+1.5万円/負け−1万円 | ロット0.5(同じ):勝ち+1.5万円/負け−1万円 |
| 10pips(いつもより狭い) | 勝ち+1.5万円/負け−0.5万円 | ロット1.0:勝ち+3万円/負け−1万円 |
| 5pips(かなり狭い。極端な例) | 勝ち+1.5万円/負け−0.25万円 | ロット2.0:勝ち+6万円/負け−1万円 |
出典:計算例。利幅30pipsは仮定、スプレッドなし。実際の成績ではありません。普段のロットのままだとSLが狭いほど負けが小さく(戦力が余る)、上げると勝ちが大きくなります。

SLにかかりやすくなる?
ロット増はSLにかかる確率を変えません(普段のロットでも同じ)。
確かにSLの狭い局面ではSLにかかりやすくなりますが、それはロット増とは無関係です。それはSL幅の問題であり、ロットを増やさなくても同じです。
自分の手法で使えるか、確かめるには?
まず売買履歴で勝ったトレードだけをピックアップします。
勝ったトレードの内、エントリー時点のSL幅を調べます。
初期SLの許容損失額(=lot×pips)が、従来の許容損失額より低ければ、本来の許容損失額になるようにlotを上げます。
上げたlotで利益を計算し直します。
同様に、負けトレードでもこれを行い、最後に集計します。
もし難しければAIに頼んでください。
PTV5をお持ちなら、売買履歴を出力してMT5の標準AIに尋ねてください。
ProEN5のように、SLとロットを先に決めて負け額を発注前に見られる道具があれば、確かめやすくなります。
建値SLとの関係は?
ロットを増やす別の形もあります。私は建値SL(建値+1pipsなど少し上)にして(建値SLの記事の「リスク0の無敵ポジション」)、チャンスがあれば増し玉もします。リスクを消してから戦力を足す形です。今回は、入る時点でSLの狭さに応じてロットを決める形です。
資金管理は、ケリー基準・オプティマルf・破産確率の記事と、体験できる資金管理ゲームにまとめています。
よくある質問
ランチェスター戦略は、結局FXに使えますか?
数式自体は完全に当てはまるものではありません。あくまでランチェスターの思想を私なりに解釈してFXに活かしている(つもり)という事なので、ご容赦ください。自分なりの解釈を加えて頂いて問題ありません。
どんな手法で使えますか?
SLの位置が局面で自然に変わる手法です(直近の安値・高値の外にSLを置く手法など)。
まとめ
- SLが自然に狭い局面で、ロットを上げて負けの上限を1Rに戻す(戦力を使い切る)。SLにかかる確率は変わらず、勝ったときの利益は利幅が保たれれば増える
- 手法によっては使えない。自分の手法で成り立つかを先に確かめる
※この記事は効果を検証・証明するものでなく、特定の売買方法や投資を推奨するものではありません。
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最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
関連記事:FX 弱者のゲリラ戦 後編/ProEN5の予告/建値SLとは/ケリー基準とは/オプティマルfとは/バルサラの破産確率計算機/資金管理ゲーム/FX兵法 風林火山/大多数が相場を勉強して負ける理由
