FXの複利とは、利益を引き出さず、次のトレードの資金に含めて運用することです。実務では、1回の損失を「そのときの残高の○%」に決め、ロットを毎回計算し直す「定率リスク」が複利の効かせ方になります。リスク%は大きいほど増えるわけではなく、本文の試算では、1回2%なら10連敗しても減りは-18.3%。25%まで上げると、期待値がプラスでも資金は減ります。
人類最大の発明「複利」(アインシュタイン)
※いつ聞いてもいいですね。でも今の時代にはそぐわないかな?
人類最大の発明を知っているのに使わないのは、人の罪だと思いませんか?
いや、人ではなく、トレーダーの業(ゴウ)なのか。
投資を始めた頃のあの夢、あの熱、あの決心は、もう捨てたのかい?
複利を狙う定率投資法は、資金を雪だるま式に増やすギャンブルイメージを持つかも知れませんが、残金を基準に考えるので負けた場合でも投資割合が圧迫せず、適正投資額を維持できる「守りの効果」も優秀です。
例:
資金100万円で一回のリスクを2万円(100万円の2%)とした場合、50回の負けで破産。(0円)
資金100万円で一回のリスクを2%(残金の2%)とした場合、50回連敗後の残高は約364,170円
このように同じリスクから初めて、同じ勝率でも、後者は破産しません。ちなみに227連敗しても1万円手元に残ります。(ツイてなさすぎィ~)
複利の知識を持っているなら、使わないのは怠慢です。罪です。バカボンパパに言わせれば死刑なのだ。(ウソです)
ただし、正しく理解して使いましょう。
複利の威力:単利との差は後半に爆発する
複利の効果は、最初はあまり差が見えません。勝負は後半です。
| 年利 | 10年後(複利) | 20年後(複利) | 20年後(単利) |
|---|---|---|---|
| 10% | 2.59倍 | 6.73倍 | 3.0倍 |
| 20% | 6.19倍 | 38.3倍 | 5.0倍 |
20%で20年なら、単利は5倍、複利は38倍。
差の大半は、最後の数年で生まれます。
複利の利点はその高利率だけでなく、長く相場に残ることでもあるんです。
途中で大きく減らせば時間という最大の武器を失います。退場すれば次のチャンスの参加権さえ失います。
退場の怖さは「100人自分」破産シミュレーターで確かめられます。
FXに応用する:増やす前に、減らさない設計
負けは、取り返しにくい
減った分を元に戻すには、減った割合より大きな増加が要ります。
| 資金の減少 | 元に戻すのに必要な増加 |
|---|---|
| -10% | +11.1% |
| -20% | +25.0% |
| -30% | +42.9% |
| -50% | +100% |
定率リスク:資金に合わせて、1回の賭け金を自動で変える
複利をFXで効かせる仕組みが、定率リスクです。
「1回の負けは、そのときの口座残高の○%まで」と決めて、ロットを毎回計算し直します。
例)口座100万円、1回の許容損失2%、SLまで20pips、ドル円の場合
| 口座残高 | 許容損失(2%) | ロット |
|---|---|---|
| 100万円 | 2万円 | 1.0 lot |
| 120万円 | 2.4万円 | 1.2 lot |
| 80万円 | 1.6万円 | 0.8 lot |
ロット=許容損失額 ÷(SLのpips × 1pipsあたりの損益)。
ドル円は1lot(10万通貨)で1pipsが約1,000円です。
「損切り幅ではなく損失額を固定する」考え方は、損切りをpipsで固定する間違いと自分の適正ロット数で詳しく書いています。
勝って残高が増えればロットも増える。これが攻めなります。ただしどこまで(何%)攻めるかは決めておくのが好ましいです。
負けて減ればロットも減る。これが守り。※前に同じ。
こうすることで「負けるほど安全側に寄る」仕組みが、事前に組み込まれるという事になります。
リスクは大きいほど儲けは増える? 答えはノー
「複利なら、リスクを上げるほど速く増える」と思いがちですが、一部、違います。
リスク%を増やせば、途中までは増えますが、ある値を過ぎると破産確率が高まり、DDに耐えられず負けます。
| 1回のリスク | 100回後の資金(典型値) | 10連敗したときの減り方 |
|---|---|---|
| 1% | 約1.21倍 | -9.6% |
| 2% | 約1.43倍 | -18.3% |
| 5% | 約2.09倍 | -40.1% |
| 10% | 約2.64倍 | -65.1% |
| 20% | 約1.07倍 | -89.3% |
| 25% | 約0.35倍 | -94.4% |
(試算の前提:手数料・スプレッド無視。毎回、残高に対する一定割合を賭けるものとして対数成長率から算出。運の振れで結果はこの値から大きくずれます)
注目点は2つです。
- 伸びは、リスクに比例しない。 10%あたりを頂点に、それを超えると下がり始める。期待値がプラスでも、25%では資金が減る
- 連敗は思ったより起きる。 勝率40%の手法で100回やると、10連敗以上が一度でも出る確率は約20%
連敗の重さは、動かして試すのが早いです。ポジションサイズ研究ゲームセンターで賭ける割合を変えて遊べますし、期待値プラスでも破産する確率はバルサラの破産確率計算機で出せます。
この「頂点」は、ケリー基準(J・L・ケリー、1956年)で知られる最適な賭け割合と一致します。この例では、(2×0.4-0.6)÷2=10%。
ただしこれは「勝率とリスクリワードが正確に分かっている」場合の理論値です。実際の手法の勝率は推定でしかなく、現実の運用では、頂点よりずっと手前に置くのが定石です(頂点の見つけ方はオプティマルfとは何か)。
つまり、複利のためにリスクを上げるのは悪手。
複利を育てる土台は、連敗に耐えられる小さなリスク率です。
私のやり方:守りで土台を作り、利益の範囲で攻める
ここからは私の個人的な戦法です。万人向けではありません。
資金管理を「守り」と「攻め」に分ける
私は資金管理を、守りの資金管理と攻めの資金管理に分けて考えています。
- 守り:負けても資金を枯渇させない。1回の損失、1日・1週間の損失に上限を置く
- 攻め:利益が出ているときに限って、リスクを増やす
初心者は守りだけでいい。短期間で複利を使って増やそう、と考えないでください。
これは以前から変わらない考えで、「元本を超えてから、リスクを増やす」という順番が肝です。
利益が出た後なら、その増えた分を失っても元本は残ります。攻める資格は、利益で買います。
ブレークイーブンSLと、利益の範囲での増玉
エントリーしたら、できるだけ早くSLを建値へ動かして、リスク0のポジション(無敵ポジション)を作る。これがポジションコントロールの基本です(詳しくは 私のポジションコントロールの基本方針と実践)。SLを動かすタイミングは建値SLとは?損切りを建値へ動かすタイミングと私のやり方にまとめました。
そして、リスク0になった上で、チャンスがあれば利益の範囲内で増玉します。
増玉の負けは、すでに積んだ利益から払う。元本には触れません。
為替介入の荒れ相場で、5万円の口座が最大64万円まで伸びたことがあります(実食、禁断(?)の為替介入。)。初弾のリスクは約1万円。初回で含み益が出たあとは、利益の範囲で増玉を重ねました。
特殊な環境だったことは否定しません。ただ、「初弾の小さなリスクを、利益で増やしていく」仕組みは複利そのものです。
同じ手法でも、資金管理で成績は変わります。pipsの成績が同じでも、利益が飛躍的に違ってくる。私が一番改善したのは資金管理でした(再現性と優位性の話)。
発注前に「いくら負けるか」を決めておく
定率リスクで一番面倒なのは、毎回のロット計算です。
手でやるなら、表計算ソフトにひな形を作っておく方法があります。
私は、エントリー用のEA「ProEN5」を使っています。チャート上でSLとTPの線をドラッグすると、ラベルにpipsと金額が出て、発注前に「予定許容損失」が見えます。「1回の負けは○円まで」「口座の○%まで」と決めておけば、ロットかSLを自動で計算してくれます。

定額か定率かは、詳細設定の「定額/定率」で選びます。定率を選ぶと、入れた%を、パラメーターで選んだ資金(残高・有効証拠金など)にかけた額が、1回の許容損失になります。Lotを0にしておけば、SLの位置からLotが自動で決まります。設定の手順はProEN5 使い方ガイドに載せています。

動画でも見られます。下のプレイヤーは、定率でロットを決める場面(8:58)から再生されます。
ProEN5の画面と機能の全体像は、ProEN5の機能紹介記事にまとめています。
通貨ペアが変わっても、負ける額はそろえる
ロットは、通貨ペアごとに決め方が変わります。
同じ「1.0 lot」でも、ペアが違えば1pipsの値打ちが違うからです。
例)許容損失2万円に固定した場合(ドルは1ドル=150円で概算)
| 通貨ペア | SL | 1lotの1pips | ロット |
|---|---|---|---|
| ドル円 | 20pips | 約1,000円 | 1.0 lot |
| ポンド円 | 40pips | 約1,000円 | 0.5 lot |
| ユーロドル | 20pips | 約1,500円 | 約0.67 lot |
ロットはバラバラ。でも、SLに当たったときの損失は、どれも約2万円。
こうしておくと、「どのペアで負けたか」ではなく、「手法が合っていたか」だけを比べられます。成績の分析も楽になります。
手計算、表計算、ツール。どれでも構いません。
大事なのは、発注ボタンを押す前に、いくら負けるかが数字で決まっていることです。
私が見ているのは「複利のグラフ」ではない
意外かもしれませんが、複利の最終的な倍率は、あまり見ていません。
見ているのは次の3つです。
- 1回の負けが、決めた上限に収まっているか
- 連敗中に、ロットが勝手に小さくなっているか
- 利益が出ていないときに、攻めていないか
複利は、結果です。
守りが守られていれば、複利は勝手に付いてきます。
よくある疑問
FXの複利とは何ですか?
利益を引き出さず、次のトレードの資金に含めて運用することです。実務上は、残高に対して一定割合のリスクでロットを決める「定率リスク」が、複利の効かせ方になります。
単利との違いは?
単利は元本だけが増え続け、複利は増えた分も元本に含めます。期間が長いほど差が開きます。FXでは、ロットを固定すれば単利的、残高に比例して変えれば複利的な増え方になります。
FXで複利運用は危険ですか?
複利そのものが危険なのではなく、リスク率を上げすぎることが危険です。
1回のリスクは何%がいいですか?
手法や資金、性格で変わるため、一律の答えはありません。連敗しても精神的に耐えられる範囲にして、まずは小さく始めてください。本文の試算では、10連敗しても2割弱の減少で済むのは2%です。バン・K・タープの資金管理ゲーム ・「100人自分」破産シミュレーター でリスクをシミュレーションできます。
少額からでも複利で増やせますか?
仕組みは同じです。ただし少額だと、最小ロットの制約でリスク率を思い通りに決められない場合があります。まずは「失っても生活に影響しない額」で練習するのが大切です。
ProEN5で、定率のロット計算はできますか?
できます。詳細設定の「定額/定率」で定率を選び、%を入れると、SLの位置から「1回の損失がその%」になるようLotを自動計算します。手順は使い方ガイドと、動画の8:58で確認できます。
※本記事は情報提供であり、投資を勧誘するものではありません。試算は仮定に基づく例で、将来の成果を保証しません。
まとめ
- 複利は、時間をかけるほど差が開く。後半に爆発する
- FXでは、定率リスクで複利を効かせる。ロットは残高に比例して変える
- 複利は縮む方向にも同じ強さで働く。減らさない設計が先
- リスクを上げても伸びは比例しない。頂点を超えると、期待値がプラスでも減る
- 私は、守りで土台を作り、利益の範囲で攻める
リンク集
ProEN5
ロットと資金管理の基本
- 損切りをpipsで固定する間違い
- 自分の適正ロット数
- ケリー基準とは|資金管理ゲームをハックする。
- オプティマルfとは何か→ケリーを自分化する手順
- バン・K・タープの資金管理ゲームを完全再現|ポジションサイズ研究ゲームセンター
- バルサラの破産確率計算機|FXで使う方法と限界
- 「100人自分」破産シミュレーター
私のポジションコントロール
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
FXmt Mt.more
