CustomボリンジャーLabo:手法編

「ボリバンの利用価値を探っている」旨のご意見が散見されましたので、今回はBBをテーマにして、初心者向けに代表的な手法を紹介します。

既にボリバン上級者の方は目新しい情報ではないかもしれませんが、BBの基礎デフォルト値だけで構成されるロジックなのでビギナーにとっては各ラインの性質の理解も深まり、学習や手法構築のヒントになるかと思います。

有名な手法ですがテキトーに解説することもできないので“もし私がするとしたら”と仮定して私流に即興でアレンジしています。ご容赦ください。

僅かな違いで大きく手法が変化する事も解ると思います。

 

順張りトレード(byモアテイスト)

全体像

まず全体像として図のオレンジのエリアを自分のトレードエリアとします。定義を語るより図で判断してOKです。見たカンジ勝てそうな気がしてきますが(笑。果たしてそうでしょうか。

直近チャートから説明に適した箇所を選んでいます

エリアの下側(ミドル)をロングエントリー目安にし、上側(バンド)をターゲット(利食い)にします。

このようにすることで上昇率に応じて相対的に可変する利食い値を自動設定できる為、ボラに応じて適時、大きく(あるいは細かく)利食う事になります。利食いの大きさや確度は任意で調整可能です。

同様にミドル(MA)をサポート(支持ライン)と考える事でトレーリングストップも同時に自動設定され、カンタン、単純、それでいて理論を損なわない、優れた戦略です。

下降トレンドの場合反対側のバンドを使用しますがエントリーは同じミドルを使用します。

つまり、MAで入ってσで手仕舞うシンプルな手法です

  • エントリー:MA
  • ストップロス:-σ(+σ)
  • テイクプロフィット:+σ(-σ)

1・セットアップ

直前MAの傾きで判断

エントリーはトレンド発生状態が条件です。トレンド判定は今回はMAの傾きで判断する事とします。傾きが平行に近いかはっきり判別できない場合はMAタッチでもノートレードです。
また、実際のトレードではチャートの右側は完成していない状態です。現在足直近十数本程度のMA状態で判断すれば充分でしょう。厳密に判定本数を決めても良いですが深い意味はないので今回はファジーにいきます。

  • 右上がり:アップトレンド
  • 右下がり:ダウントレンド
  • 平行:トレンドレス
  • *判別に悩む:ノートレード

今回はデフォルトのSMAを使用しましたが、直近のトレンド傾向を色濃く反映させたい場合は加重移動平均指数平滑移動平均線(EMA)で判断しても良いでしょう。

 

2・エントリー

多すぎるシグナル

単にMAタッチでエントリー(シグナル)にした場合トレード回数・ダマシともに多いため、MAタッチの中でも足を精査します。

今回は「MAタッチかつ、価格(終値)がMAより上にある時」とします。足とMAが接触していて、終値がMAより上ということです。ちなみこれはMAと価格のゴールデンクロスと考える事ができポピュラーなトレンドフォロー戦術です。価格(ロウソク足)の代わりに短期間MAを使用する事も可能です。MAクロスアラート活用法

価格がMAより下のタッチは無視

「”MAタッチ”の定義」は「ヒゲタッチ」とし、「終値」は足完成時点で判定します。
これによってシグナル足発生数を半減させるとともに、精度向上も同時に実現します。

また、1でアップトレンドを確認済なので、上昇トレンド中に、下から上にタッチするという事は押し目買い(戻り売り)である事も意味します。これはグランビルの法則による上昇しやすいチャートパターンのひとつです。(グランビルの裏法則

 

 

3・損切り

トレンド中は逆側のバンドはさらにかかりにくい

損切りにもMAを使用して問題ありませんが、今回はBBの理解を深める為あえてバンドを使用します。

下図のように-1σやそのままのMAでは損切りキングボンビーになるので、今回は-2σを損切り値とします。

損切り貧困層

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.


標準偏差の理論が正しければ(もちろん正しいですが)±2σに価格が収まる確率は約95%です。が、トレンド発生中の場合、トレンド方向側のバンドには確率を無視するかのようにビシバシ超えてきます。「全然95パーちゃうやんけ」と思うなかれ、その分、トレンドと反対側のバンドは、冷え切った夫婦のようにノータッチ状態が続きます。これは1で確認したトレンド状態が影響して確率が偏っている事を利用している為なので、環境認識を怠らないようにしましょう。

安全性を重視してタッチ即でエグジットとします。

 

4・利食い

トレンド中の順側のバンドはタッチしやすい
偏差を利用してリスクリワードレシオ調整

利食いは+3σとします。前述のとおりトレンド発生中は同方向のバンドにタッチしやすい状態になっています。ラブラブです。が、同時に、標準偏差を超える異常値でもあるため、タッチ後に標準偏差内に戻ってくる可能性を秘めているので、利益を最大化しやすい+3σを採用します。舞い上がっているが冷めやすい、そんな状況です。

 

今回はバンドの数値を利用してトレード一回あたりの損益比率(リスクリワードレシオ)を確保していますが完璧とは言えません。前回記事参照(半歩踏み込むボリンジャー:モメンタム編)。
SLにMAを使用したり、建玉保有中のブレークイーブンMA建値SL移動させるとより安全性が上がるでしょう。

(SLにMAを使えば無難ですが、今回はBBで構築しています。MAの手法になってしまうので。。)

今回は終値を採用する合理的なメリットが浮かばなかったので、こちらもタッチ即エグジットとします。

 

検証とブラッシュアップ

図1

フリーハンドなのでちょっと見づらいですが、表示チャート上のエントリーシグナル22回中、16勝6敗(win72.7%)でした

「5」のようなエントリーは、今回の手法定義上エントリー後即決済(スクラッチ)されていますが、裁量目視トレードの場合はエントリーそのものをスルーする判断でも良いでしょう(エントリーと利食い条件が同時に発生している為)。
このチャートは1H足なので5の状態でも微益ですが、もし上図が1分足ならスプレッドにより微損になる局面なので注意が必要です。

 

実践でポジションをひとつずつ持つ場合は次のようになります。(建玉を解消する迄次の建玉を建てない場合)

7勝1敗(win87.5%)

 

こちらの方が実践的な値ですが、これだと標本(検証数)が少ないので標本を増やして検証した方が良いでしょう。

 

ちなみに、エントリー条件を「ヒゲタッチ」→「ボディタッチ」に変更した場合は次のようになります。

 

ボディタッチにするだけでも半減できました。ここからさらにシングルポジション用に整理するとトレード数は6~7にまで下がります。簡易検証のため厳密な数値を用いたPF等は未計算ですが、どのパターンで表示させても一瞥してトータルプラスなので、手法の土台としては問題なさそうです。

ただし実際にはその他の要素も考慮する必要があるので絶対にこのままでは使わないでください。(スプレッド、高値安値、指標発表、時間帯、通貨ペア、コンディションなどなど)

今回の方法はあくまで手法構築のヒントとし、必ず自分で検証・納得・構築してください。それが一番大事です。

 

その他:逆張りトレード

BBではレンジ相場の逆張りもポピュラーなロジックで、手法構築の土台に使われる事が多いです。

この場合も単純な上下σタッチで売り買いを繰り返しても良い成績は残せないので、σへのタッチ方向を選別するなど、選球眼ならぬ選足眼が必要です。ご要望が多ければ逆張りも今後ブログにしてみます。

ProENを使ってσタッチで自動エントリーするならタッチ方向の選別は役に立つでしょう。目視裁量ならアラートだけで構いませんがその場合もタッチ方向を指定すればチャートを開く回数は減らせます。

BB逆張り関連の記事:BBで見る相場環境

 

発展

BBに限りませんが、MTF(マルチタイムフレーム)分析により、足を小刻みに判断すると、設定値を変えないまま、図1の5のエントリーのタイミングを変更する事もできます。

1H足で描写したバンドに対して15分足単位で判定する事ができ、一本足あたりの長さ(価格変動)が4分割されるので、先程より細かく運用できます。σ(決済)はタッチ即なのでエグジットポイントは変わりませんが、MA(エントリー)は終値ルールにしたのでエントリー数は変わる可能性があります。これは前述の5のスクラッチ(何らか理由で0±付近ですぐ決済される状態)の回避に利用できます。

一長一短ありますがこのように元ロジックの論拠を崩さずに手法をブラッシュアップすることで、ひとつの手法を極めるクセ付けにもなります。

 

まとめ

今回の検証で平凡な手法も小さなアイデア大きく変化する事が解ります。

これを教訓にして、一貫性に乏しいトレード行為がいかに成績に影響しているかもイメージできると思います。

また、アイデア自体はシンプルでも実践には障壁がある場合もあります。(監視時間・メンタル・資金等)

FX関連の記事を見ているとカンタンに勝てそうに思う事があるかもしれませんが、机上の理論とは別に、このような壁を乗り越えた先に、やっと自分のトレードを実現できる厳しい世界ということを忘れないようにしましょう。成績はそのあとの話です。

 

補足

今回はBBをテーマにBBだけで構築しましたが、当然ながらBBの一要素だけを現在の手法に取り入れても問題ありません(私はそうしています)。その場合はメインの手法を邪魔しないように注意してください。

手動売買が前提の場合、単純タッチをアラート把握すれば、タッチ方向がどうであれ最低限のトレードチャンスを逃さずに済みます。条件を絞ってアラート頻度を減らせば、より無駄エントリーの抑制につながります。もともと”待ち目的”な訳なので。

ここで上げた売買シグナルはProENやProEXで自動化できますがタッチ売買を自動化する場合アラート条件に充分注意してください。手動なら想定外の値でエントリーする事はないですが、自動化すると本人が気づいていない条件でアラートする可能性もあるので、しっかりと把握して使うようにしましょう。いきなり全部を自動化せず、エントリー、決済、トレール、など、ツールに頼る場合は部分的にハイブリッドにサイボーグ化していくのが良いでしょう。

 

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