トレードの勝率は1/2か?
FXは売るか買うかの確率1/2と言われる事がありますが、これはブローカーが顧客を獲得する為に、あたかも投資が単純で高勝率の商品であるように思わせる方便だと言っていいでしょう。
先ず第一に、スプレッド・手数料・スリッページなどがある為に、基本的にトレーダー側が不利に出来ています。
ブローカーはビジネスとして顧客から手数料を得なければなりませんので、ブローカー側が有利になっている事は当然です。
でなければ誰もブローカーをやりません。
第二に、相場は、上昇・下降・レンジの三通りあり、選択肢そのものが、売り・買い・何もしないの三択になるからです。
ロングで勝つという事は、買った後に価格が上がった時のみです。
買った後に、価格が下がった、もしくは横ばいだった場合は、最低でもスプレッド+手数料がトレーダーの負けとして計上されます。
そして、
仮に相場が勝率1/2だとしても、単純に考えてこれだけでは利益を上げる事が出来ないので、何とかしてこの確率を超える事が必要になります。
例えば、コイントスで売買を決めエントリーし、損益比率を1:1に設定してSL・TPを決めたとします。
(ここではスプレッドなどの不利な要素は考えないものとします)
毎回、TP・SL目標地点まで達した時に必ず決済すれば期待値1ですのでトントンで稼げません。
価格がTP・SLに達した後も上げ続けるか下げ続けるかは誰も解りません。
このルールで勝つ為には、損切りする時はきっちり損切りし、反対に利食い地点まで含益が出た時は、SLを建値に移動させて損失0を確定させ、後顧の憂いを無くして更なる上昇を狙う事です。
所謂ブレイクイーブン地点です。
この後はどこで決済しても利益が出る訳ですが、1以下の地点で利食うと期待値も1を下回る為トータルで勝てません。
従って、どこかで大きく勝つ必要があります。
これが、相場で2度勝たなければいけない感覚です。
一度目は単純に確率1/2に勝利する事、これだけでは勝てないので、その後更に勝ちを伸ばす事、の二段階が必要です。
一度目の損切りを建値に移動する行為は資産の安全を確保する行為に他なりません。
これを実現できて初めて相場で勝つ事が出来ます。
実際はこれに加えて手数料という不利な状況も乗り越える必要があり、
且つ、プロスペクト理論により人間は心理的に不利な選択をする傾向がある為、論理的行動が常に取れません。
こう考えると、相場で勝ち続けるのは非常に困難に感じると思います。
間違っても、勝率1/2だからテキトーにやっても半分は勝てるでしょ、なんて事は言えなくなると思います。
これが解らずに、なんで勝率50%でこんなに負け続けるのかと悩んでいる人もいると思います。
負け続けるのは普通であり、大多数の人が負けて終わります。
相場を簡単に稼げるところだと思わない事です。
勝つ為には普通を超える必要があり、勝ち続ける為には、普通を超えた人たちを更に見下ろすレベルに居る必要があります。
(参考:あり得ない確率で連敗する訳)